第14回itSMF Japanコンファレンス/EXPO
SCSK講演「ITサービスマネジメントの現場における働き方改革の実践事例」

イベント概要

■主催
特定非営利活動法人 itSMF Japan

■日時
2017年11月9日(木)、10日(金)
【コンファレンス】9日 9:15~18:00、10日 9:30~18:00
【EXPO】9日12:00~17:30、10日12:00~17:30

■会場
ソラシティ カンファレンスセンター(東京都千代田区神田駿河台4-6 御茶ノ水ソラシティ)

日本における労働環境には、長時間労働をはじめ様々な課題がある一方で、毎日職場に出勤することが必ずしも必要でなくなるなど、多様な働き方も可能になってきた。従来の働き方では労働生産性が向上しないことも明らかになっている現在、活き活きと働くことができ、かつ生産性の高い職場づくりが急がれる。

SCSKではIT業界特有の長時間労働から脱却すべく、「健康経営」を軸とした働き方改革を推進。その結果、残業時間の短縮や有給休暇取得率の向上、社員の健康増進、ワークライフバランスの向上と共に、営業利益の向上を持続的に達成している。
本講演の講師はSCSKの森山克也氏(ITマネジメント事業部門 事業推進グループ プロジェクト監理部 部長)。SCSKの働き方改革に関する取り組みを示し、データセンターや顧客先常駐運用といった"ITサービスマネジメントの現場"における働き方改革の実践事例を中心に紹介した。

働きやすい、やりがいのある職場を目指して
-SCSKの働き方改革

講演冒頭では、SCSKの現在までにおける働き方改革の取り組みを紹介。
以前は連日夜遅くまで社内に明かりが灯り、中には会社で夜を明かす社員がいたという状況だったが、この状況を目にした当時の社長が、「このままではいけない」という危機感から働き方改革の指針を打ち出した。そこで立案されたのが、効率的な働き方を目指す「スマートワーク・チャレンジ」、社員一人ひとりの健康増進を実現する「健康わくわくマイレージ」、柔軟な働き方を実現する「どこでもWORK」という3つの柱を中心に据えた働き方改革プログラムだった。

当初はこのプログラムに半信半疑だった社員も、「削減できた残業代を翌年のボーナスで還元する」というトップの英断に驚き、プログラムに対する不安は解消された。「社員が健康で活き活き働いているからこそ、お客様に最高のサービスが提供できるという、会社の本気度を信じることができた」と、森山氏は解説する。

残業は激減、収益は倍増
-"健康経営"に向けた3つのスローガン

続いては働き方改革の具体例。
まずは「スマートワーク・チャレンジ」。平均月間残業時間を20時間以下、有給休暇取得日数を95%以上に目標設定した。「2012~2013年度にかけ、有給休暇取得日数は増加傾向に、残業時間は減少傾向を示している。2015年度には有給休暇取得率95%を達成し、残業時間も月平均18時間までに減少。結果、営業利益も2011年度の約2倍までに増加した」と、森山氏は成果を話す。"残業削減により浮いた費用を全額社員に還元した会社"として、SCSKはマスコミや他企業の注目を集めた。

続く「健康わくわくマイレージ」とは、禁煙やウォーキングなど、健康維持・増進のための良い"行動"と、健康診断の"結果"を評価し、達成基準をクリアした社員や組織にインセンティブを支給するもの。

最後は「どこでもWORK」。オフィスの自席を前提としない働き方で、ICTをフル活用して自席と同様に働けるワーキングスタイルのことである。「通勤に伴う心理的・体力的な負担が減少した」「介護や育児が必要な社員にとって、時間的な余裕が生まれた」などのメリットが挙げられた。その他、ペーパーダイエットやフレックスアドレス、Web会議といった施策が盛り込まれている。

個人対応から組織対応へ
-運用部隊の課題解決のための"3つのP"

次に、運用部隊における一般的な働き方改革の課題について、以下の3点を挙げた。
①障害対応に追われている
②プロジェクト対応に追われている
③仕事が属人的になっている
これらの課題については、「"3つのP"を実践することで課題を解決している」と、SCSKの取り組みを紹介。

この"3つのP"とは――
Products
ITIL®をベースに設計・構築されたITサービスマネジメント基盤とWebポータルによって、ITサービスの健全性をリアルタイムに可視化、「見える」マネジメントを実現
Processes
システム開発標準に、ITIL®に準拠したインフラ・運用構築のフレームワークを適用
People
専門性認定によるキャリアフレームワークの確立、高度人材である「サービスマネージャ」を育成

以上の取り組みにより、システムと品質の安定化や属人性の排除を実現。「運用部隊の課題解決には、個人から組織へ対応をシフトすることが不可欠」と森山氏は言い切る。

長時間労働に依存しない環境づくり
-データセンタービジネスにおける定型化・自動化の推進

講演の後半で森山氏はデータセンタービジネス領域における働き方改革を解説。品質と生産性の向上を目的とした業務の定型化について説明した。
さらに、「24時間365日稼働する共通運用部隊への業務落し込みと、自動化の推進も不可欠」と、その必要性を訴えた。自動化にあたっては、メンバーに対する勉強会の開催や顧客への自動化の趣旨や意義の説明など、きめ細かなフォローが重要という。

画面と音声のシェアにより、作業リスクの低減と利便性の向上を実現
-データセンタービジネス領域におけるリモートワークの活用例

働き方改革以前より、データセンターでは夜間、祝日の障害対応をリモートで実施する環境は整っていた。障害発生時、担当SEが電話で状況説明をリーダーに行い、リーダーからその上司に報告して指示・承認を受け、SEにフィードバックしていた。これは時間のロスが大きく、承認プロセスは非効率であり、さらには単独作業のリスクが高い状況であったと言える。

現在は、Skype for Businessを導入、SE・リーダー・上司の3者が、同時に画面と音声をシェアできる。承認プロセスの効率化に加え、作業リスクの低減と利便性の向上を実現した。
しかし働き方改革のさらなる実現には、「障害対応にとどまらず、日常の業務にまでリモートを拡げることがポイント」と森山氏は語る。

「ムリ!」という固定観念に斬り込む
-顧客常駐ビジネス領域における働き方改革と成功事例

森山氏は、データセンタービジネスと顧客常駐ビジネスにおける、働き方の差についても触れた。例えば、「データセンターのリモートワークについては、適用率が約93%と高水準に達しているが、お客様先に常駐している社員においては、わずか15%余りと大きな差が出ている」。近くにいることに価値を感じてくださっているお客様が多いというのも現状である。しかし、顧客に対する働きかけも徐々に進んでおり、2015年10月から翌年9月にかけてのリモートワーク実施回数は0.8回/月であったが、2016年10月からの1年間では2.0回/月にまで増えるなど、着実に進んでいることが分かる。

また、出産や介護による時短勤務をお客様先で実現するための取り組みも紹介。「従来の"人月単価契約"から"一括契約"へ、最終的には"パフォーマンス"をベースとした契約へ変更を行ったケース。業務量と品質を徹底的に可視化することで、サービスの品質を担保している。より多様な働き方を実現する上でも、"顧客常駐ビジネスでは、働き方改革なんてムリ"という思い込みに斬り込む必要性を痛感している」と、森山氏は意気込む。

徹底的な業務の可視化に始まり、標準化や自動化による品質と効率の向上など、継続的改善に邁進する運用現場。SCSKの働き方改革は一段と推進力が増すことだろう。業界やマスコミが驚くほど働き方改革に成果を挙げているSCSKだが、その先へと、さらにもう一歩踏み出そうとしているのだ。

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